「おつかれさま。」

「ありがとう…ございました。」

「瞳ちゃんも吸入だね。」

「…。」


これはどういう反応をしたらいいんだ?晴は落ち込んでるし、なんかちょっと怖い気がするんだけどなー。

チラッと晴の顔を見る。


「…だってあれ苦しいもん。」

「そうだけどさ、今の晴ちゃんには必要なんだよ。」

「はぁ…。」

「それじゃあお二人さん、行きましょうか?」

「はーい。」

「はぃ…。」


よくわかんないけど晴が嫌がってるしな、覚悟した方がいい?
いや、そんな簡単に出来るわけないでしょ… 。
見事に緊張してきたよ。


「はい、肩の力抜いてー!」


遠藤先生…。
そりゃ無理っすね。だって怖いもん。

そうこう思っているあいだに到着。部屋の中に入った。

中にはいくつか機械が置いてある。


「いまからするのはあれ。」


遠藤先生が指をさしたのは入って真正面にある機械。なんか管?みたいなのがついている。


「二人ともここすわってこれ持ってね。」


機械の前に座らされ、例の管を持たされた。


「これはめて。スイッチを押したら薬が出てきます。だから、薬が出ているあいだは口で呼吸してね。これをしている間は咳が出て止まらなくなる人もいるけど今はこれしか治療法ないから頑張ろっか。」


えー、咳止まらなくなるの?怖いな…さっきみたいに咳がすごくて息が出来なくなったらどうしよう…。


「二人ともいくよー!スイッチ押すね。」


機械が動き出して、薬が上がってくるのがわかった。

喉がムズムズする。晴はもう咳してる。
私も咳したいけど怖い…。
だけど我慢するのもすごく辛い…。

顔をゆがめた。
そんな私に気づいたのか、遠藤先生が


「大丈夫だから。」


と声をかけてくれた。


「咳しても大丈夫だから。何かあっても私たちがいるからね。」


もう我慢できない。
遠藤先生に返事をする前に咳が襲ってきた。


ゲホッゴホゴホゴホ、ゲホゲホッゲホッ。


これ大丈夫なの…?


「大丈夫だよ、あと少しで終わる、頑張ろっ。」


ゲホゲホッゲホッ…。
ピーーーーー。

機械が止まった。

ゲホッゲホッ、はぁゲホッはぁはぁ…。


「はい、お疲れ様でした。大丈夫?」

「ゲホッ、もう大丈夫です。」

「これ、毎日夕方にするから覚えておいてね。あんまり酷い時は朝でもするけど。とりあえず、部屋に戻ろうか。」


クタクタになりながら私と晴は部屋に戻った。