ティナは数時間後に目を覚ました。


アメリアはティナの為に飲み物を用意した。


手にホットミルクが入ったカップを持っている。


「ティナ様、食欲がないのですか?」


ベッドの上に上半身を起こしたティナは力の無い笑みをアメリアに向けた。


「ありがとう。ホットミルクを飲むと身体が温まってホッとするの」


カップを受け取って小さく息を吹きかけ一口飲む。


そんな姿をアメリアは見ながら複雑な思いに駆られていた。


ティナ様の終わりはすぐそこまで来ている。


ご主人様は今日戴冠式の後のパーティーが終わった後ヴァンパイアになるように説得すると言っていた。


ティナ様は「ヴァンパイアと死」ではどちらを選択するのだろうか……。


ティナ様だって死にたくないはず、ご主人様の傍から離れたくないはず……。


今この場で自分自身が説得したい。


だが主人に忠実な使い魔は黙るしかなかった。