螺旋階段の一番上にティナを抱いたレオンが姿を現すと、大広間にいた会話を楽しんでいたヴァンパイアたちの声が一気に静まった。


そして全員が片膝を床に付ける。


ティナは驚きすぎて声を出すことも出来ない。


「そうだ。一つ言い忘れたことがある。ヴァンパイアの目と合わせてはいけない。操られてしまうからね」


レオンが螺旋階段を降りながら言う。


「はい。レオン」


「いい子だ」


レオンがティナに微笑むと、周囲が驚きの声でざわめいた。


ヴァンパイアの王子の微笑みを見るのはほとんどないせいだ。