「ねぇかずまくん?…どうしたのよ…」
「ほんと、ぼうっとしてさ」
「べつに…」
愛原を目で追うようになったのはそれから、たまに見かけたけど、きっかけがなくて…
声をかけることも出来なかったんだ。
そんな時、カノンから突然、話があるって言われて、誰もいない2組の教室でふたりきりに…
『ブルン…ブルン…ブルルルル…』
「あ、バス出ちゃうね!かずまくん、乗ろう?」
「うん…」
私とかずまくんは、いつものいちばん後ろに並んで座った。
「その後、富永さんとはどうなったの?」
「どうなったのかなぁ…」
「え?…なにかあったの?…かずまくん?」
「ちょっと、ここでは話せないかなぁ…」
「え?…そ、それって…まさか…」
「まさかって?…キスとか?」
「キ、キ、キスーーッ!」
く!くるみッ!…声、でかい!
案の定、男子達に振り向かれて、大笑い…
だって!かずまくんが!……キスしたなんて言うから!……
…するわけないだろ
…ほんと?
ああ…好きな人以外には…
するとしたら…
チュッ…てさ…
本当に好きになった人だけだろうな
少しだけ尖ったかずまくんの唇を見て
つい私も…
キスの真似をしてしまった…
いつかは、わたしも…
かずまくんと…ん…ふふ
「くるみ?顔…」
「うん?…」
「赤いけど?…大丈夫?」
「やだ…」