「ご、ごめんなさい」

俯く芽以は、それ以上の言葉を続けることができなかった。

なぜなら、健琉がこの場所を突き止めてここまでやって来ることは想定していなかったからだ。

何から話していいかもわからない。

目を合わそうとしない芽以。

「芽以、こっち向けよ」

壁ドンした状態で、健琉は左手で芽以の顎を掬い上げた。

芽以の大きな瞳が涙で潤み、健琉の目を悲しそうに見つめていた。

「,,,!」

健琉がキッと芽以を睨むと、芽以は再び、下を向いて俯いた。

目からポロポロと涙がこぼれている。

「この、馬鹿!」

健琉は次の瞬間、芽以をギュッと抱き締めていた。

「,,,心配させやがって」

芽以は驚いて健琉を見上げようとしたが、きつく抱き締められてそれはかなわなかった。

「無事で、良かった,,,」

芽以は泣きながら、ギュッと健琉を抱き締め返した。