「もっと言ってやってもいいんじゃないですか」
「…増野君は女子の怖さを知らないから言えるんだよ」
あの夏帆はああいう顔をして、ひどく計算高いかわいさを演出するのが得意だ。男はすぐに騙されてしまう。やりたくないことをやらないために味方を増やすのも得意。
女の敵はやはり女、というわけである。
「そうですね。俺も先輩に手伝わされてますし」
「ちょ、私何もいってないよ!?」
「手伝ってくれっていう雰囲気だったんですよ」
「うそ…気を付けます」
そんな雰囲気を出していたのか。
これではまるで夏帆と同じではないかと気を付けなくてはと思う。
振り返った増野君の顔は、笑っていた。
「それが先輩らしくて好きですけどね」
《不意打ち攻撃が効かない》
「私としてはもっとしっかりしたいんだけどな。―――ちょっと、どうしてため息をつくのよ」
笑い顔から沈黙。増野君は再び棚への向かう。
「……なんでもありません。早く片付けますよ」
了
2018/4/30


