図書室に本を借りにくる、または返しにくる人たちはそう長く滞在しない。勉強する人もあまりいないので、図書委員は楽だ―――と思うのだが、あまり人気はない。

 図書室を開けたり、貸出しや整理をするのが面倒だ!という。よって委員を決めた話し合いでも、すんなり私は図書委員になれた。ラッキー、と思った矢先にあの夏帆も委員になったことを知ったのである。

 委員は他のクラスからも選ばれているのだが、まさかあの夏帆も選ぶとは…。

 しかし本人が「じゃんけんで負けちゃって~」と、本当はやりたくなかったんだよねぇとリップクリームを塗りながら話していたことに、やりたくなかったのかよと内心で毒づく。


 そして、この後輩。
 増野優君は、図書室の常連である。


 図書委員をよくやっている私とはこうして顔を会わせるうちに、話すようになったのだ。じゃなかったら縁もないただの後輩でしかない。

 彼は本を借りにくるのと、勉強をしにやってくる。
 彼が大体座るのはカウンターから見えないところなので、たまにその存在を忘れそうになる。
 実際前に忘れたことがあって、いきなり声をかけれれて死ぬほど驚いたことがあるのだ。


 今日は色々とやることがあるからと、図書室の扉に閉館中という札が下げている。

 ―――が。