―――何が予定入っちゃって、だ。



 今日は図書委員である私と夏帆の担当だった。

 本の貸出に、新着図書の件。貸出しはともかく、問題は新着図書だ。新しい本は名簿と照らし合わせて届いているのか、貸出しの準備とか、やることがある。

 しかも、だ。

 今日は夏帆のほかにもう一人いたのだが、体調が悪くて帰ったらしい。だからあの女子力高く、したたかな女の子と二人でやらなくてはならないのか!とちょっと憂鬱だったのだが―――まさか一人きりになるとは。

 何の予定だ!と言う間もなく、夏帆は短いスカートを揺らして去ってしまうのだから、もうどうしろと。




「押し付けられたっていうんですよ、それ」



 カウンターで返却された本や、新着図書の入った段ボールを何とか処理していた横で、増野君がいう。

 一年生のくせに、一年生らしくないその雰囲気は大人っぽすぎて腹が立つ。その黒渕眼鏡がさらに大人っぽさを増幅させている気がするのだ。

 真っ黒な学ランのポケットに、三色ボールペンがささっている。勉強が出来る彼らしい文房具に思える。前に言ったら、ただのボールペンですよと一言。