あ、美奈ちゃん。
 そう呼ばれて私は嫌な予感がした。

 ロングヘアに、カーディガン。膝何センチ?と聞きたくなる短いスカート。図書委員として他のクラスから出ている夏帆という名前の女の子である。
 私は夏帆が苦手だった。



「ごめーん」
「え?」
「今日、図書室行けないから」

 

 両手を合わせて、首を少し傾けるポーズに、私は固まる。

 私が夏帆のことが苦手な理由は、色々とある。
 うまーく仕事をサボるし、やらないし、というのが第一。その他はこの、女の子全開な感じで異性にべたべたする等など、めんどくさい女の子なのだ。
 彼女がサボるせいで、その皺寄せが他の委員にやってくる。なので他の図書委員からも評判は悪い。


「なんで」


 案外低い声が出てしまって、「怒らないでよう」と夏帆に言われる。
 うっかり舌打ちしたくなるのを堪えて「何で行けないの」と聞くのは当たり前だ。



「予定入っちゃって。もう一人いるから平気でしょ?」