「水沢、一緒に昼飯食べない?」

私の机をトントンと叩いて宮沢君が言った。

「でも私、亜矢たちと」

「ゆ、有紀ちゃん行ってきなよ」

「え?」

紗知が私に言ったことに驚く。

「言ってきたら?」

亜矢も言った。

「え、うん、分かった」

私は曖昧に笑って宮沢君について行った。

「どうしたの?」

「ん、なんとなく水沢と食べてみたいって思ったから」

「変なの」

空き教室でコンビニのサンドイッチをパク付きながら言った。

「っていうか俺水沢に嫌われていると思ってた」

「まあ、好きじゃなかったのは確かだね」

「あはは、やっぱり?」

薄々分かってたけど、と呟きながら自傷気味にいう宮沢君がおかしくて笑ってしまった。

「何?俺の顔になんかついてる?」

「ついてない」

今までの宮沢君とはなんか違う。

「やっぱり、会長の真似をするのには無理あったか」

宮沢君は頭をポリポリかきながら言った。

「俺、水沢に好かれたくて演技してたの」

思わぬ告白。

「もう、やめるわ。俺女に意地悪するようなキャラじゃないし、嫌われてたら元も子もないし」

それって和海が意地悪って言ってるような。

「これから、俺頑張るから少しは意識してよ?」

「分かった」

私は宮沢君がいい人だと思ったから、そう返した。

でも、ごめんなさい。
____私は和海のことで精一杯です。