これが、これまでの人生で経験したことのない、恋心というものだろうか。
何をやっても手につかず、あまつさえ、一緒のベッドで睡眠することがかなわなくなった。
すなわち、寝不足に陥った。
結果、ここ数日の睡眠時間は授業中になった。

そして、今は授業中。
なのに、意地悪な先生のせいで私は起こされた。

「水沢さん、この問題を解いてください」

こういう先生の嫌がらせが度々ある。
まあ、授業中に寝ていたのだから自業自得か。

「できました」

私は目をこすって席に戻った。



*side 和海

眠い。ひたすらに眠い。
しかし、保健室で寝るとさすがに出席日数がヤバい。
つまり、授業中に寝る。

俺は家から持参したクッションを机の上に置いてよし寝ようと思った時だった。

「カズ、なんでこの頃眠そうなの?というか、なんで授業中に寝る準備してんの?」

翔が邪魔してきた。

まず、一つ目の答え。
全くベッドで寝れないからだ。
今までどうにか保っていた理性が、あの風呂の日以降崩壊しそうになる。
それに、俺を意識してくれているのか有紀も眠れていないことは知っている。

次に二つ目の答え。
学校には野郎どもを見張るために来ている。
つまり、授業中は暇。
だから寝る。クッションを持参したのはより快適な睡眠をとるため。

まあ、めんどくさいから翔には教えないが。

「まあいいや。どうせカズの睡眠を邪魔しようなんて言う奴いないだろうし、安心して寝れば」

もとよりそのつもりだ。

俺は昼休みまで爆睡した。