「何するんですか」

「お仕置き」

「……っ」

キスを思い出した。

「何黙ってんの?野郎二人を見て顔赤くしてたくせに」

「それは…」

「俺が話しかけてるのに無視して他の男見るとかお仕置き確定な」

「ちょ、ちょっと待って下さい!」

「言い訳でもするわけ?」

和海の目は冷ややかだ。

「今日はバイトがあるので……」

私は身の危険を察知して生徒会室のドアに足を向けた。

「まだ時間あるでしょ」

「あ、でも、あれがまだなので……」

「あれって?」

「それは…えっと……」

そんなものはない。

予定があると言ったら逃がしてくれると思ったが甘かった。

「俺に嘘ついたんだ?」

「そんなことは……」

「あるよね?」

「……はい」

私は項垂れた。

「じゃ、お仕置きだ」

「……分かりました」

この頃、キスをするとなんか、なんかおかしいのだ。
精神的にも。心臓もおかしくなる。
覚悟してやったら大丈夫かもしれない。
今までが不意打ちだったからおかしくなったのだと思い込むことにする。

「…やけに物わかりいいな。じゃあ、俺が喜ぶことをして」

「………はい?」

和海が喜ぶこと?

「出来たらご褒美あげる」

「ご褒美?」

「そう。してほしいことしてあげる」

「…漫画ほしい」

ポツリと口から出た。

「漫画が欲しければ頑張って」

和海は生徒会長の椅子にドカっと座った。