「有紀、会長と付き合ってるの?」

昼休みに私の机に亜矢が来た。亜矢の後ろに隠れるようにして紗知もいる。

亜矢の言葉に教室中の視線がこちらに向く。

「違う「付き合ってる」

私の言葉にかぶせて和海が言った。

ちなみに今日の午前中の授業中はずっと隣に和海がいた。

「あの、付き合う経緯とかって教えてもらえたりしませんか?」

亜矢が和海の方を向いて言った。

「秘密」

和海が言った。

「そうですよね。無理言ってすいません」

亜矢がぺこりと頭を下げる。

「気にしなくていいから。有紀、お昼食べるよ」

和海は顔をこっちに向けて言った。

「勝手に食べてください」

口調が刺々しくなる。

「何怒ってんの?」

「怒りますよ。勝手に授業中ここにいて授業妨害するんですから」

「有紀だけしか妨害してない」

「……もういいです。ちょっと購買に行ってきます」

呆れた。私はいいのか。

ガタンと席を立つ。

「……っ」

一歩足を出したところで目眩がした。

頭をおさえてしゃがみこむ。

そういえば寝不足だった。

「有紀!大丈夫?!」

亜矢の声が聞こえる。

「うん、大丈夫……」

そう答えてゆっくりと立ち上がる。

「有紀ちゃん、無理しないでね」

紗知が肩をかしてくれる。

「ありがとう……」

しっかりと立った時、体が持ち上がった。

「へ?」

和海にお姫様抱っこをされている。

「「「「「「キャーー」」」」」」

そう認識したのと女子の悲鳴は同時だった。そして、突き刺さるような視線。

「保健室行ってくるから、先生によろしく」

「分かりました」

亜矢の声が聞こえた。