「ただいまー」

「遅かったじゃない」

「ごめんごめん」

適当に母の小言をあしらってそのまま自分の部屋に向かう。


私の部屋は大きな本棚が二つある。そこに買ってきた大量の漫画を入れる。
母は私の部屋には勝手に入ってこない。だから、今まで漫画の正体を知られずにすんでいると思っている。
だか、親は子供のことを何でも知っているというから、本当は知っているのかもしれない。

「有紀、今までどこにいたの。心配したのよ」

「ちょっと、絡まれちゃって。でも、男の人が助けてくれたから大丈夫」

「大丈夫じゃないわよ。だから、遅い時間に出歩くなって言ってるでしょ。有紀は女の子なんだから」

「分かってる」

ご飯を二人分よそいながら言った。