「少しくらい俺を信じてくれてもいいのに」

和海が悲しそうに呟く。

「まあ、脅されたとはいえデートしたのは事実だけど」

和海は私の目を見た。

「浮気したのは有紀の方だよね?」

和海が黒いオーラをまとい始めた。

「キスさせて。しかも、抱きしめられて」

逃げようともがいている私を抱きしめたまま続ける。

「俺と帰らずに放課後デートまでして」

ベッドの隣の棚に置いてあるうさぎのぬいぐるみを見ながら言う。

「毎日あのぬいぐるみを抱きしめて」

私は身の危険を感じてさらに暴れる。

「いくら俺が浮気してると思ってたからってやりすぎだよね?」

和海は暴れる私を上にのりながら抑え込む。

「これって浮気じゃなかったらなんて言うの?」

笑って言っているが、目は全く笑ってない。

「その分際で、俺が浮気してるって落ち込んでたわけ?」

背中から変な汗が流れる。

「俺の方がダメージデカいからね?」

さらに笑みを浮かべる顔が怖い。

「俺の気持ち少しは考えようか」

声を一段低くした。

「嫉妬で狂いそうだった」

そして、またふっと笑う。

「有紀が責任とってくれるよね?」

和海の目は有無を言わせない。