「全部違うから」

和海ははっきりと言った。

そっか……。
私の勘違いで。

「そいつとは何もない」

こんなに世界が色あせて見えたのは、全部私の勘違いで。

「どうすれば信じてもらえる?」

こんなに和海を心配させているのも私の勘違いで。

「その写真は合成写真だ。っていうか見たら分かるだろ」

全部、全部、全部私の勘違い。

「あははは」

可笑し過ぎる。

全てが私の勘違いなんて。

私ってこんなに馬鹿だったっけ。

「……久しぶりに笑った顔見た」

和海の嬉しそうな顔も。

ほっとした顔も。

全部私の勘違いのせいで。

「ごめんなさいっ……」

私のせいでこんなに心配させて。

私のせいでこんなに悲しませて。

「私、和海を信じてなかった……」

あのメールが事実だと決めつけて。

和海のことを信じてなかった。

「浮気したってずっと思ってた……」

和海がそんなことするはずないのに。

「だから、怖くて……」

ずっと逃げてた。

「和海に話せなかった……」

和海を失いたくなかったから。

「ごめんなさい……」

和海を見れない。