「俺に言えないなら良いんだ。ただ、俺が有紀をそうさせているなら俺は自分が許せない」

和海の声は少し震えている。

「俺がそうさせてる?有紀、それだけは答えて」

優しくて、強い声。

「言わないと俺、分からないから」

全てを話してしまいそうになる包み込むような優しさ。

「お願い有紀。話して」

私の顔をそっと撫でた。

「俺は何があっても有紀のこと……」

私を抱きしめて耳元でささやく。

「愛してるから」

「っ……」

涙が目に溜まった。

我慢してたのに。

泣いたらダメだ。

涙が出たからなのか、頭がわれるように痛い。

「有紀?」

どんどん痛くなっていく。

「い、痛い……」

はあはあと息をしながらながら和海にすがりつく。

「落ち着け。一旦深呼吸しろ」

「い、痛い……」

痛みしか感じない。

過呼吸も痛みを増長させている。

「ちょっと我慢しろよ」

「んっ?!」

唇が塞がれた。

「ふぅ」

少し経って、和海が息を吐いた。

「よし、おさまったな」

キスのおかげで過呼吸は止まっていた。

「有紀」

私は数秒で、夢の中に微睡んでいった。