「水沢下手だねー」

「はあ……」

クレーンゲームをやってみるがいっこうに落ちる気配がない。

「ちょっとかしてみ」

宮沢君がお金を入れた。

「よし、取れた」

宮沢君は私に大きいうさぎのぬいぐるみを渡してくれた。

「ありがと」

私はもふもふなぬいぐるみを抱きしめた。

「もう、暗くなったから帰るか」

「うん……」

さっき時間を見る時にスマホの電源を入れたら、メールの通知が100件になっていた。

帰りたくない。

鈴木晴香って誰なの。

「水沢?」

「ああ、ごめん。じゃ、また明日」

私はうさぎのぬいぐるみを持って宮沢君と別れた。