「ん、杏!」
「は、はい!!!」
「何寝ぼけてんの?授業始まっちゃうよ?」
「あ、渚咲!ありがとう…」
私の名前は柏木杏(かしわぎあん)。
市内の高校に通う、高校一年生。
そして、私を今呆れたように見下ろしているのは、幼馴染であり、大親友の柊渚咲(ひいらぎなぎさ)。
私たちは保育園の時からずっと一緒に過ごしてきたの。
そして…

「まったく、お前はいつもそうだよな!しっかりしろよ〜」
「う、うるさい!」
同じく幼馴染の橘飛沫(たちばなしぶき)。
彼はいつも私にこうやって声をかけてくる。
彼につられて憎まれ口を叩いてしまう私だけど、本当はずっと、彼のことが好き。
だからこそ素直になれなくて、可愛くない反応をしちゃうの。
でも、彼の好きな人は私じゃない。
だって、相談を受けてるから。