最近は天気に変動が起きやすく、今は晴れていてもすぐに雨が降る。
 夏の雨は空気が涼しい時と涼しくない時がある。
 台風も来てるみたいだし、凄くはた迷惑な夏休みになりそう。
 折りたたみ傘、持ってくれば良かったかな……。



 そういえば凪、今日も……来るのかな。
 そう思いつつ図書館に入る。
 ずっと家の中に居るよりはマシだから、そう言い聞かせて図書館の中で時間を過ごす。
 ある一冊の分厚い小説を時計も見ずに集中して読んでいたからだろうか……時間を忘れてしまっていた様で、気が付けば夕方だった。
 きっと今帰れば涼しいだろう。
 そう思って小説を閉じて席を立とうとした。
 だからこんなタイミングで声がかかるなんて思わなかった。



「水乃ちゃん
 まだ雨が止んでません
 閉館までには雨も止むと思うので、それまではそちらの小説を楽しめますよ」



 視界の端にいつもふんわりしてるのに今日は湿気のせいなのかいつもよりクルクルになってるミルクティー色の髪が見えた。
 そこに視線を向けると眼鏡で見え隠れする気の弱そうなタレ目が私を見つめていた。



 凪の目はなんだか優しい目をしていた。
 凪のそんな目は久しぶりに見た。
 凪のキメの細かな白い柔肌は私が嫉妬してしまう程にサラサラしていて、正直羨ましいとすら思う。
 淡いピンク色の薄い唇は、今日もいつも通り、微笑みの形をしていた。
 そして、雨が降っていると聞いて自分が折りたたみ傘を持ってきていない事を思い出した。