告白



 静かに波の音が聞こえる。
 まるであの時みたいだ。
 そう思ったのは私だけなんだろうか。
 でも、あの時とはどうしても違う。
 海に面した砂がサンダルを脱いだ足に軽く食い込んで足跡を作る。
 海を眺めながら人気の無さそうな所まで歩き、やがて完全に人が居なくなった所で足を止めると、凪が意を決した様に口を開いた。



「あの……」
「……何?」
「僕は水乃ちゃんを愛してます」
「…………」
「そして、この気持ちはこれからも変わりません」
「…………」



 何よ……何なのよっっ!!
 私が今までどんな気持ちでいたかっ!!



「絶対ですよ
絶対、生まれ変わっても必ず僕は水乃ちゃんを愛すから…」
「……か……」
「……え?」
「ばっかじゃないのっ!?
愛してますとかっ!
よくも恥ずかしげもなくっ!!」
「…………」



 悲痛そうな顔しないでっ!!
 泣きたいのは私もなのに何でっ!!
 何で凪がそんなに悲しそうなのよっ!!



「ずっと変わらないって本当に言えるの!?
絶対って誓える!?」
「…………」



 悲しげに微笑まないでよっ!!
 ねぇ……凪、絶対って言ってっ!!



「凪っ!!
貴方はやっぱりっ!!」
「えぇ、わかってます」
「っっ!!」
「だから……本当にごめんなさい」
「……めて……」
「でも、この気持ちは変わらないですから…」
「そんなの嫌よっ!!」
「もう、時間みたいなんです」
「だって……」



 凪からそんな事聞きたくないっ!!
 止めて、言わないでっ!!
 凪っっ!!



「何の為にっ!!」



 私が何の為に……今までっ!!



「最後に」



 凪は私の言葉を無視して続けて言ってしまう。
だけど私も凪の言葉を聞きたくなくて、認めたくなくて無視して叫んでしまう。
 それが、凪の気持ちを踏みにじる行為だったとしても…



「本当の事を言わなかったと思ってるの!?」
「本当の事を言ってください」