約束



 あの時から、9年ぐらい前……
 私が五歳頃の何気ないある日だった。
 いつも通りに凪を連れ回して、いつも通りに凪と遊んでいた頃。



『ねぇみずのちゃん、ぼくこのあいだ……すごくゆうひがキレイなうみがテレビにでてたのをみたんだぁ』
『ゆうひ?けしきより、わたしはうみであそびたいな!』
『えー、うみがゆうひでまっかになってすごくキレイなのに』
『だってわたしキレイなけしきのうみ、みたことないし
おかあさんだっていそがしいって、あそびにもつれてってくれないし……』
『そっかぁ……あ、じゃあさみずのちゃん!』
『ん?どしたの、なぎ』
『ぼくらがおっきくなったら、いっしょにうみにいこう!』
『え?』



 あの時は凪から誘われるなんて本当に予想外だった。
 それに、凪の無邪気な笑顔と手を伸ばしてくれたあの時は嬉しくて少しの間どうすれば良いのか解らなかったっけなぁ。



『あ……だめ、かな』
『……ふんっ!』
『みずのちゃ……
『いいわよ』
『へ?』
『……おっきくなったら、ふたりでいっしょにキレイなうみをみにいくわよ!』
『うん!』



 しゅんとした後に、私が良いわよって言った後の凪は、ぱあっと明るく笑ってくれて……
 そういえば、こっちまで嬉しくなっちゃってたなぁ。