幼馴染み



 太陽の焼けつく様な暑さと、蝉の鳴き声が、私に今の季節が夏だと教えてくれる。
 風はあるが生ぬるい熱風が、息を吸う度少しだけ苦しくなる様な風だった。
 横断歩道は陽炎で遠くが見えずらく、目的地である図書館までの道のりは遠く感じる。



 白と爽やかな檸檬色と、淡い青で構成されたワンピースと、檸檬色のリボンが付いてる麦わら帽子を被った高校生程の少女――――七瀬水乃が歩いていた。
 チョコレートの様な色合いの髪は、肩辺りまでの長さと飾りなのか、段々と意味を成さなくなってきているヘアピン、少しつり目がちな同色の瞳。
 健康的な程度に少しだけ焼けた肌は、汗と共に首に張り付く髪がほんの少し彼女に艶やかな印象を与える。



 この暑さじゃ、日焼け止めを塗ってまで肩の出るワンピースを着た甲斐はあったかもしれない。
 近くでは、どこかで風鈴でもぶら下げてるのか、涼しげに音を鳴らしている。
 遠くを見ようと、太陽を遮ってくれていた麦わら帽子を外す。
 図書館は、もう少しで着く様だ。
 手元にあるスポーツドリンクが、生ぬるくなりかけている。
 麦わら帽子を被り直し、涼しい所に行きたいのを我慢して歩き出す。
 あぁ、早く室内に入りたい。