「おい、龍!
お嬢と伊吹いねぇじゃねぇかよ!」
「なっ……!
そんなはず………、入れ違いか!?」
「まじかよー。
俺めちゃくちゃお嬢に会えると思ったのによ。」
そう言うと2人の声が遠くなり、足音も小さくなる。
2人は完璧にいなくなった時、ふいに伊吹がこちらを向いた。
「………っ…。」
目があった瞬間、思わず動けなくなる。
向こうも固まっていて、お互い見つめ合う形になる。
すぐ動けば触れてしまいそうな位置。
鼓動が早くなる。
やばい、ドキドキする………。
この胸の高鳴りはかっこいい伊吹が至近距離にいるからだよね。
そう、だよね………。
「………伊吹、近い。」
やっとの思いでそう言い、軽く俯く私。



