少し経って部屋のドアが開く。


「本当にいいのですか?」
最後にもう一度伊吹が聞いてきた。


「いいよ、別に。
床とかで寝られるより何倍もマシ。」


すると失礼します、と律儀に言って伊吹もベッドに入った。


2人が入ってもまだ余裕はある。


わざとお父さんがこのベッドをセレクトしたんじゃないかってくらい。


「本当に伊吹って真面目だよねぇ。
こんな人、見たことないわ。」


私がそう言うと伊吹がこちらを向いたような気がした。


「当たり前のことをしたまでです。」


私も伊吹の方を見ると思ったよりも距離が近くて胸が高鳴った。


急いで伊吹に背中を向ける。


「結衣様……?どうかなさいましたか?」


「な、なんでもない!
眠たいから寝るね、お休み。」


そう言ってあつくなる顔を隠すようにして私は眠りについた………。