「い、伊吹……!!」
急いで伊吹を見ると…………誰が見てもわかるくらい背中に深く刺さっていた。
「これくらい……大丈夫です。」
そう言って笑うけれど、じわじわと血が服に広がっていってる。
すると今度は男の笑い声が。
幹部であろう男が様子を見ていて笑っていた。
「すいません、さすがに手下のやつが武器を持っていたなんて知りませんでした。
これじゃあもう藤堂は無理ですね。」
勝った、でも思ったのだろうか。
向こうの残りの人数を数えると、10人。
これなら私だっていける。
ただ、幹部の男の実力はわからなかったけど………
「伊吹、ここからはもう私が………」
1人でやる。
伊吹を見て、そう言おうとしたのにできなかった。
だって伊吹は…………
笑っていたから。
背筋が凍るような感覚に陥る。
こんなにも人間が怖いと思ったのは初めてだった。



