な、なんでそんなこと言うかな。
しかも私は好きと言ってほしかったのに、まさかの本当にキスした理由を言うなんて………!
ほんと、私を殺す気?
正直者にもほどがある。
本当に罪深い男すぎでしょ。
「ど、どうして結衣様顔が赤くなって……」
「いちいち言うなって言ってるでしょ!」
私は赤くなっているであろう顔を隠すようにして伊吹にしがみついた。
「そんなことした罰で、私をベッドまで運んで!もう寝る!」
「………わ、わかりました……」
お姫様抱っこ、とは違う形だったけど私を軽々と持ち上げる伊吹。
なんか、本当に色々な感情が混じってる。
こんな気持ち、初めてだ………。
この心臓の音が伊吹に聞こえちゃうんじゃないかってくらいうるさかった。
結局伊吹の口から好きという言葉は聞けなかったけれど、単純な私には充分だった。
どうしようもないくらい、伊吹が好き……。
そう心でつぶやきながら、私は移動中の伊吹の背中に手を回してぎゅっと抱きついていた………。



