男も状況を理解してないようで呆然としていた。


そして手に持っていたナイフはいつのまにか伊吹がとっていた。


「結衣様には指一本触れさせないよ?」


その声は低く、落ち着いていたけれど周りの人の耳にまで届いた。


それは殺気をも感じさせる雰囲気を漂わせながら。


辺りは静かになり、警察官も固まっている。


だけどすぐに伊吹が
「あの、この人どうしたらいいですか?」と言ってようやく動き出す警察官。


無事男は捕らえられ、私たちはその場から離れた。