「俺、その時の伊吹をみて、こいつは本気だと思った。
伊吹の表情に、組長の俺でもゾッときた。
それでこいつが本気なら、任せられるって見たばかりなのに思ったんだ。
おかしい話だろ?
だけど伊吹はそう思わせるようなものを持ってたから、俺は別の日に聞いたんだ。
『お前が本気で結衣を守りたいなら俺のところに来て強くなれ』って。
そしたら伊吹はすぐ頷いた。
その後は伊吹の母親に挨拶をしに行ったよ。
伊吹の母親も、俺を見て怖がらずにお願いしますって逆に頼まれて………
強い人だった。
だけどその後は安心したような顔をしてたな。」
私が閉じこもってた数日で、そんなことがあったなんて………。
知らなかった。
本当は知っとくべきことだったのに。



