「思い出してくれて良かったよ……。」
そう言った後でお父さんが私の質問に答えた。
「最初に伊吹のことを知ったのは結衣から話を聞いたときだよ。
すごい泣き虫な男の子がいるって、だから私が慰めてあげたのって嬉しそうにしてたなぁ。
それからほぼ毎日伊吹の話をしてて、毎日楽しそうだったよ。」
………そこまでは思い出してない。
そんなこと言ってたんだ、我ながら恥ずかしい………。
だけどじゃあ、なんで伊吹を組に入れたんだろう……。
「じゃあ伊吹をどうやって組に入れたの?」
私が聞くと、お父さんは少し間をあけてからゆっくりと話し出した。
「………結衣はどんなに辛くても、お母さんが亡くなった時でさえ泣かなかっただろ?
だけど見てて我慢してることぐらい俺でもわかった。
それで落ち着かせるために外に出したけど、やっぱら心配で見に行ったんだ。
そしたら結衣が、ある1人の男の子の前で泣いてるのを見て正直驚いたよ。」
うそ……お父さん、その時見てたんだ……。
「その男の子が伊吹だった。
伊吹、その時に強くなったら結衣を守りたいって言ってたの、覚えてるか?」
それは思い出したから素直に頷く。



