そして少し経ち、伊吹が目を覚ました。
私は何故か寝たふりをしてしまう。
動かずじっとしていたら、ようやく状況を理解した伊吹が
「ゆ、結衣様……!?」
と焦った声を出して私から離れた。
それでも私は動かずにいたら………
少しの間があいたあと、伊吹がそっと私を引き寄せた。
まさか、また抱きしめられるとは思っていなくて私の鼓動は早くなる。
すると伊吹がそっと低く甘い声で囁いた。
「………好きです、結衣様。」
………っ、何それ。
私が寝てる時にそんなこと言うの、ずるい。
心臓がうるさいぐらい暴れだし、顔があつくなる。
ここで私が寝たふりだと言ったらどうなるのだろう。
伊吹の顔はすごく真っ赤になるだろうな。
だけど………
私も今照れているため、そんなことをする余裕がなかった。
ああ、朝から心臓に悪い。
そう思いながら私は伊吹が起きてくれるのをひたすら待っていた…………。



