「お前ら刺されたくなかったら早くどけぇぇ!!」


男が私たちに向かってそう叫んだ。


どけ………?


その男は見るからにナイフを使い慣れていない初心者だ。


そんなやつに私が刺されるとでも?


少しバカにされたようでイラッとした。


我慢の限界だった私は男に一歩近づこうとした瞬間………


「結衣様はお下がりください。」


先に伊吹が一歩前に来た。


そこにさっきまでのような彼はいなくて……………


その真剣な瞳を見て、少しゾクッとした。


「お前どけっつってんだろ!」
「君!危ないよ!」


…………それは、一瞬だった。


私も目で追うのがやっとなくらい、一瞬で男はうつ伏せで倒れ、その上から伊吹が押さえつけていた。