『…………僕が結衣ちゃんより、強くなったら……結衣ちゃんを守りたい。』


その声はいつもの伊吹じゃなしに、力強いものだった。


『………本当?ずっと私の側にいてくれるの?私から離れない?』


『うん、約束する。
だからそれまで待っててほしい。』


素直に嬉しかった。


初めて無理をせず、自分の弱さを見せられる人だったから………


だけど私は忘れていた。


こんなにも、素敵な人と出会ったのに。
こんなにも優しい人と出会ったのに。


病院での出来事は全部が全部悲しいものじゃなかったのに…………


辛いことしかなかったと思い込み、勝手に蓋をしていつしか伊吹のことを忘れていた。


だけど伊吹は私のこと、私とした約束をずっと覚えててくれて………


高2の夏休み明けに、再会した。


それから今までずっと、伊吹は私との約束を守り続けていたんだ…………。