毎日毎日楽しいことばかりではなく、日に日に悪化するお母さんを見て泣きたくなる日もあったけど………
それでも私は笑っていた。
もちろん伊吹の前でも。
伊吹に弱音を吐いていいと言ったからには自分は弱い姿を見せたらいけないと思っていたからだ。
だけどどうしても辛い時は………
ベンチには行かず、家に帰って1人で泣いていた。
伊吹に辛いと話してしまいたい時もあった。
それでも私は我慢し続けた。
お母さんが強がりで、無理して私の前で笑っていてくれてると知った日からも………
私はその気持ちに応えようとして笑うよう努力した。
そしていつかお母さんの病気が治って、また家族全員で家で過ごせる日を待ち望んでいた。
だけと………
そんな願いもむなしく、叶うことはなかった。



