ーーその日から、そのベンチで私たちはほぼ毎日会っていた。


私たちはその時、男の子のことを『伊吹くん』と呼び、男の子は私のことを『結衣ちゃん』と呼ぶ関係になっていた。


そしてその男の子が………


伊吹だったのだ。


最初のうちはよく伊吹は私の前で泣いていたけど、いつしか泣くこともなくなっていった。


だんだんと仲を深める私たち。


会うのも話すのも、お見舞いに行った帰りのベンチでだけ。


お互いのお母さんのことも話した。


伊吹のお母さんも、治るのが難しいと言われる病気ならしい。