…………と、思っていたら。
「………。」
いきなり伊吹から笑顔が消えた。
急に真剣な表情になり、前を向く。
私も前を向くけど誰もいない。
「………伊吹?どうしたの……」
「結衣様、少しの間だけ鞄を持っててください。」
そのあまりの変わりように驚きつつ、私は言う通り伊吹の鞄を持つ。
「………すぐ片付けてまいりますので。」
伊吹はそれだけ言って前に歩いた瞬間、曲がり角から数人でて来た。
「くそ、バレたなら仕方ねぇ。
お前ら行くぞ!」
「「おお!」」
………そいつらは他の組の人間だった。
大人の男性で、奇襲でもしようと思っていたのか。
だけど伊吹はそれに気づいたってこと?
どんな感覚してんだ本当に。



