そんな私を見て何かを察したのかわからないけど、伊吹は話してくれた。
「俺、もう両親いないんです。」
少なくともその言葉にどれほど驚いたことだろう。
その時の私の表情は複雑なものだったと思う。
だってどんな顔していいのかわからなかったから。
「父さんは生きてるけど離婚して、俺は母さんの方に引き取られて………
それで母さん、病気で亡くなったんです。
俺を養うために無理して仕事して、ストレスもあって病気の進行も早くて……
そんな時、組長に出会いました。
組長が俺を引き取らせてほしいって、母さんに頼んだんです。
その後すぐ、母さんは亡くなりました。
………今こうして俺がいるのも、全部組長のおかげで感謝してもしきれません。
中学も高校も通わせてもらって………だから俺は組のために生きるって決めたんです。」
………この時初めて聞いた、伊吹のこと。



