「あ、そうだ。
今組長ってここにいる?」


伊吹がそう聞くと、龍が
「ああ、いるよ。」と答えた。


ありがとう、と言って伊吹は私のお父さんがいる部屋へと入って行く。


「いやぁ、それにしても伊吹ってすごいっすね。」


「この前文化祭行った時の伊吹の人気ぶりはびっくりしました。」


………まあ、伊吹の容姿と性格的にモテるのは当たり前だろう。


「そうでしょ?
あれはすごい人気者なんだよ。」


「やっぱりそうでしたか!」


「見た目は確実に高校生ですもんね。
お嬢も伊吹も。だから恋人役はあいつで適任ですね!」


………その言葉に胸が痛む。


そうだよね、恋人役なんだよねって思い知らされる。


あの日、伊吹の本音を聞いてからも特に変わったことはない。


もしかしたら自分なりに結論をつけたのかもしれない、とも思う。