最後に見た柚生くんと同じ制服を着た彼。くるり、振り向き私がついてきているのか気になったのか振り返った。
そして、満足げに口許を手で隠して小さく笑った。
「大庭先生が花を愛でている写真を撮ろうと思うんですけど、どうですか?」
「いつも思うけど、その写真の需要はどこにあるの」
「僕、先生のこと好きですから」
さらり告白する彼は心臓に悪い。
「私、先生ですから、高嶺くんとは付き合えないっていつも言ってるでしょう?」
「言うのはタダですから。ね、先生、好きです」
「はいはい」
私の中の柚生くんはお兄さんであり、初恋の人だった。
彼には私への恋愛感情はなかっただろうし、あったのは兄弟愛や家族愛に似た感情なのだろう。
彼が私に好意を寄せてくれようが、柚生くんが私を好きだということにはならない。
胸がチクリと音を立てた。
「先生?何考えてました?ここ、ぐって皺寄ってますよ」
とんとん、と彼は自分の眉間に指を当てる。
そして、数日前に見せられた渾身の変顔というものをしてくれた。
その変顔、柚生くんもやってたよ。

