真剣な顔でそう言われた。
失礼な。
あたしだって行こうと思えば行けるもん。
目だけでそう訴えると、
パパがそうしたように、
橙輝はあたしの頭に手を置いた。
「お前が奇跡的に大学に受かったら、
俺がハワイに連れて行ってやるよ」
「え、橙輝が?」
「なんだよ。悪いかよ」
「う、ううん」
思わず声をあげると、すごい顔で睨まれた。
「ハワイの約束、本当なの?」
「えっ?」
「ハワイに連れて行ってくれるって」
「あ……ああ。そうだな」
「絶対?」
「絶対」
「約束だよ?」
「うん。約束」
指きりげんまんをするほどの距離ではないから、
目と目を合わせる。
次第に恥ずかしくなって
思わず目を逸らした。
大学ねえ。
そろそろ本気で考えようかな。
本当にハワイに連れて行ってもらえるのかな?
その時は二人なのかな?
パパたちもってことかな?
まぁ今はハワイのことよりも先に
大きな壁にぶち当たっていることを思い出した。
そうよ。
まずは明日からのこの一週間、
どうやって乗り切るか。
それだけを考えよう。
橙輝との二人きり生活が、
明日から始まろうとしていた。


