目を開けると、傍に橙輝がいた。


体を起こすと、それはあたしの部屋だった。


「起きたのか」


「う、うん。ありがとう」


差し出された水を受け取って口に含むと、
少しすっきりした。


泣き疲れた目が少し重たい。


橙輝はどうしてここに?


そう目で問うと、橙輝は言いにくそうに頭をかいて、
あたしに背を向けた。


「その、なんだ。
 謝ってなかったなと思って」


「謝る?」


「この間のこと」


「あっ……」



思い出してパッと顔が火照る。


あのことか……。


思い出さないようにしていたのに、
まさか話を切り出されるとは思っていなかった。


あの時のことが鮮明に思い出されると、
胸が疼いた。


「べ、別に。気にしてないし……」


「軽率だった。ごめんな」


「う、うん」



あたしが頷くと、橙輝は
あたしの方を振り返った。


目と目が合うと、
やっぱり恥ずかしい。


自分の気持ちに気付いたから、尚更だ。


「あんな話して、困らせたよな」


「えっ?そんなことないよ!」


「そうか?でも、重い話とか嫌いそうに見えた」


「むしろ話してくれて
 良かったというかなんというか……」


「麻美はさ、似てるんだ。お前に」


「えっ?」