SKETCH BOOK




「百合!お待たせ!」


「ちょっとあんた、
 あのイケメンくんと仲良くなったの?」


「全然。ていうか、それも含めて
 百合に話があるの。
 喫茶店でも寄っていこう?」


「なになに~。よし。
 今日は事情聴取だ!」


嬉しそうにあたしの手を引く百合。


本当に、こういう話になるとこの子は……。










近くの喫茶店に入って、
百合は苺パフェを注文した、


「あ、あたしもそれにしようかな」


百合と同じものを注文すると、
店員さんが去っていく。


水を飲みほした百合が
にこやかに口を開いた。


「で、話って何?」


「実はね―――」





この一ヶ月にあったことを
一から丁寧に話していく。


百合はみるみるうちに表情を変えて、
話し終える頃には叫び出していた。


「えぇ?何それ!面白過ぎるんですけど!」


「面白がるな!」


「でもさ、この一ヶ月何もなかったわけ?」


「なにもって?」


十分すぎるくらい色々あったと思うけれど。


でも百合は首を横に振ってみせた。


「違うわよ。鳴海くんとは何もなかったわけ?」


「だ、橙輝と?別に何も……」