SKETCH BOOK




しばらくそこでじっと目を閉じていた。


いつの間にか眠ってしまったのか、
目が覚めた時にはもうすでに
授業が全部終わった頃合いだった。


いけない。


随分寝てしまった。


また担任に怒られるんだろうなぁ。


なんて、能天気もいいところよね。


早く戻らないと。






階段をゆっくり降りていくと、
ふと思い出した。


昔よく、お父さんと階段で
ゲームをしたなぁ。


グリコ、チョコレート、パイナップル。


じゃんけんをして勝った分だけ
階段を降りていくゲーム。


懐かしいなぁ。


お父さん、今頃どうしているのかな?


別な女の人と再婚するのかな?


そうなったら、なんだか嫌だな……。






階段を降りて教室に戻ると、
もう誰もいなかった。


あたしのカバンだけが取り残されている。


ふっとため息をついて机まで近寄ると、
机の上には山のようなプリントが置かれていた。



多分、サボった罰ね。


面倒くさいなぁ。


椅子に座ってプリントに手をつける。


時折聞こえてくる部活動の音に
耳をすませて、プリントとにらめっこしていた。



数学かぁ。数学は苦手なんだけどなぁ。


「お前、何してんの?」


「橙輝」