SKETCH BOOK




「別に喧嘩なんかじゃないけど……」


「一人暮らししてぇなぁ」


ポツリと、橙輝が呟いた。


よっぽど一人になりたいのかな?


だとしたら今のあたしって結構……。


「ごめん。あたし教室戻るわ。
 邪魔してごめん」



早口でそう言って立ち上がると、
ドアを開けて廊下に出た。


パタパタと音をたてて廊下を走る。


教室になんか戻りたくない。


あたしはくるっと方向転換して、
あの空き教室の前を通った。


そこには真剣な表情をして
絵を描いている橙輝の姿があった。


その様子を一瞥して。


あたしは屋上へと向かった。