「日が暮れてきたな」


「そうだね」


「帰るか」


「うん」


さっきまでのぎこちなさは、もうない。


いつの間にか手を繋ぐことにも
違和感は感じなくなっていて、


さっきからずっと、二人で
握り返し合っては笑っている。


浩平は他愛のない話をして
あたしを楽しませてくれていた。


あたしもその話を聞いたり、
たまには自分のことを話したり。



行きとはまた別のドキドキ感が訪れていた。


「梓とはいろんなところに行きたいなぁ。
 バイクの免許でもとってさ、
 それで梓後ろに乗せたりして」


「バイクかぁ。かっこいいね」


「だろ?そのうち取れるように頑張るよ」


「うん」



いつの間にかもう家の前まで来ていて、
名残惜しそうに浩平が手を離した。


今まで繋がれていた間の
温もりが解けてふわふわする。


もっと一緒にいたいと思った。


「ごめんな。せっかく
 お洒落してきてくれたのに
 散歩みたいな感じになって」


「ううん。楽しかった。また行こうね」


「おう。じゃ、また学校で」


「うん」