「申し訳ありません。」




栞菜は頭をあげられなかった 。




「今日も会ってくれなかったよ。でも帰る気にもならなくてここにいるんだ。最後くらい、、、そばにいてわがまま聞いてやりたかったなぁ。」




涙をぬぐう手は太くてごつごつして油汚れで爪が黒くて職人の手だった。



その手にはめられた結婚指輪が栞菜には眩しく見えた。