我慢していたものが一気に溢れて泣き顔になりながら栞菜は啓吾の胸に飛び込んだ。




勝手に出掛けて仕事をしたことを啓吾に怒られるかもしれないと思っていた栞菜の耳に聞こえたのは「おかえり。お疲れ。」そんな暖かい言葉だった。




栞菜は余計に泣きじゃくった。




玄関でひとしきり泣いた栞菜は途中から意識が朦朧としていた。




もとから熱が下がっていない。一度濡れた体が冷えきって、泣きすぎて頭がいたいのとでこのまま眠ってしまいたかった。