栞菜は高宮に戻り再び会長室に行った。




「3社回ってきました。再雇用先の資料と面接日程を説明しました。法務にも伝えてあります。」




「なぜ自分がこんな役を?と思うか」




栞菜の父は顔をあげないまま話はじめる。




「いえ。私は高宮の人間です。当然の役と思います。」




「口先だけだな」



「そんな!、、、」




「藤崎財閥との経営合体はしたがそれでも高宮の株価暴落からの再起には犠牲が伴った。経営を合体しても我々は高宮に関わる何千人もの生活を守らなければならない。栞菜、お前も高宮の一員であり、社員を守る義務を背負っている。それを忘れるな。」




「、、、はい。」




「帰りなさい。、、、体調が悪いのに無理をさせたな。」




父は多くを語らない。




それでも栞菜自身に背負っているものの大きさを伝えたかったことや兄を失い栞菜に高宮を守るための自覚を持たせたい気持ちが栞菜には伝わる。




父自身の葛藤、、、




父からの連絡になにがあってもこたえるのは父の思いが分かるから。