「栞菜は充分がんばってるし、それは誰もが知ってる。この前の接待だって山田社長の体調への気遣いやら趣味の話題提供やら奥さんへの配慮まで完璧だった。栞菜の丁寧な対応は系列会社や取引先からも定評がある。俺も信頼してる。俺はがつがつと仕事をこなすのはできても丁寧さや人脈への配慮まで手が回らない。」




「、、、」




「毎朝、つい栞菜に甘えて支度をせず待ってる俺も栞菜に頼りたいからなんだ。なぜか栞菜の淹れたコーヒーがおいしくてさ。」




「そうなの?」




「うん。実は、な。内緒だぞ?」




啓吾は照れて笑った。




「人間誰でも得意なことと苦手なことがある。そこを補えるのが家族だし、仲間だと思うんだ。栞菜は、俺と家族になる。誰より補いあって支え合いたいと俺は思うんだ。」




「、、、私も、、なりたい、、、」




「なろう。」




しばらく抱き合っていた二人。




栞菜は啓吾の胸で安心しきっていつの間にか眠っていた。