法要後はお膳を囲みお酒も振る舞う。




休むまもなく朝から栞菜は動き回っていた。




「お飲みにならないんですか?」




啓吾がグラスを伏せていたため栞菜が声をかける「運転してきたんだ。」と啓吾は微笑んだ。



ぎすぎすとした空気のなかで唯一の心安らぐ啓吾の笑顔にぐっと心がつかまれる。




「じゃあ、ウーロン茶お持ちしますね。」



現実に戻れなくなりそうでそういって立ち上がろうとすると、一瞬栞菜の足元がふらついたのを啓吾は見逃さなかった。




「お手洗いどこですか?」




啓吾の言葉に栞菜はすぐに笑顔を作り「こちらです」と案内した。